ゆか様へ
大分放射線技師会の相談員です。
胸中とても不安な中、お待たせして申し訳ございません。
検査に詳しい診療放射線技師に実際のところを伺ってみました。
まず、ご相談内容を少し整理させていただきます。
担当医より、授乳については24時間後に授乳可能と言われた。
しかし、接触については説明がなかったた。
それで、帰宅後(注射後6時間後)よりいつも通り育児をされていた。
ご自分で調べたところ、授乳は3日あける、12時間は接触しない方がいいと書いてあった。
記事を見てびっくりし怖い思いをしている。
甲状腺シンチ検査は、注射後20分待ち、 撮影(5分)。
甲状腺ラジオアイソトープ ウルトラテクネカウ 185MBqと記載されていた。
24時間後より授乳開始、接触もいつもどおりして検査から1週間経つ。
子供への影響、被爆量を心配しております。
この中での一番の不安は「12時間は接触しないほうがよい」という記事に対して、実際には6時間後にいつも通りお子様に接触されていたこと。
そして、授乳について医師からは「24時間後は授乳可能」と言われたが、記事には授乳は3日あけると書いてあったこと。
この言葉の食い違いに不安を抱かれおられるのだろうとお察ししました。
おそらくご自身で調べられたのは薬剤の説明文書(添付文書)などの資料ではないでしょうか?
先ず授乳について説明させていただきます。
薬剤の説明文書には、文献(書籍や論文)を引用して記載されることが多々あります。
今回の甲状腺シンチで使用された放射性医薬品である、ウルトラテクネカウの説明文書に「授乳中の女性は投与後少なくとも3日間は授乳しない方が良いとの報告がある」との記載があるのは確かです。
しかし「報告がある」というのは、そう書かれた文献が1つ以上存在するということに過ぎません。文献の中には担当医がお話しされた通りの「授乳は24時間あける」と書いている論文もあります。
また、同じウルトラテクネカウを用いた他の臓器の検査では、今回のゆか様の検査で使用された量の約4倍である740MBqを使用する検査もあります。説明文書は、そのような使用状況も見越したうえでの記載内容となります。
次に接触までの時間について説明させていただきます。
周囲の方々との接触についての注意については、薬剤の説明文書には何も記載されていません。ただし、放射性医薬品から出る放射線による周囲の方々の放射線被ばくを心配される方がいらっしゃるので、近年では医療側が適宜その説明を追加している施設が多くなっているという状況です。
病院や医師の説明内容は、薬剤の説明文書などを参考にして、それぞれの施設の方針や考え方によるところもありますが、患者さんの生活環境などを考慮して説明内容を少し変更する施設もあるようです。
ただし「そうしなければ危険です」と説明するものではなく、倫理的・安全性的に「そうした方が望ましいですよ」と説明されます。中には日本の法律で対応が定められている放射性医薬品もありますが、今回の甲状腺シンチで用いた薬品は、その種類や量ともにそれには該当しません。
今回はここまでとさせていただきます。文字数が多くなり申し訳ございません。
ゆか様の不安を少しでも和らげることができれば幸いです。
地震や台風など自然災害関連ニュースが否応でも耳に入ってきます。
大きな台風10号も近づいているとのこと、日頃からの備えが大切ですね。
ご不明な点は、気軽にお問い合わせください。