佐々木さま
大分県放射線技師会の相談員です。当会の掲示板のご利用ありがとうございます。
> 最近は被爆恐怖症になってしまい、被爆が怖いです。
放射線と聞くと、目に見えないものですし、ネット上には様々なことが書き込まれており不安が募りますね。心中をお察しします。どこまでお手伝いできるか分かりませんがよろしくお願いいたします。
ご相談内容を、私なりに整理させてください。
・4年ほど前に、腹部~骨盤腔までのCT検査を受けられた。
・ネットでCT検査の被ばくについて検索すると、その量が多いと書かれていた。
・検査を受けた病院に問い合わせをされたところ、当時のデータは残ってないものの、
佐々木さまの体格から計算された結果、被ばく量は「10くらい」と返答された。
そこで疑問に思われた内容が、
1)10とはmgy?msv?なのか?
2)腹部~骨盤腔で10なんてどこのサイトを見てもありえない気がします。
3)ちなみに152センチ42キロほどですか体格も関係あるのですか?
ということで、ひとつずつ返答させていただきます。
1)おそらく単位は吸収線量を表す「mGy」ではないかと思われます。
2)私が用いているシミュレーションソフトで計算したところでは、同じく10mGy以下の数値となりました。
これは私が働いている病院の装置を使った検査条件で計算しています。検査条件については、装置メーカーや機種によって異なってきますし、同じ機種であっても検査の方法や病院毎の取り決めによって、多少の増減はあります。
3)おっしゃる通りで、体格によって必要なX線の量は異なってきます。被ばく線量を少しでも低くしつつ、しかし検査の質も求められますので、最適な量で検査を行うことが求められます。体格が小さければ量は比較的少なくなりますし、体格が大きければ反対にX線の量を増やす必要があります。この辺りについては、CT装置に自動計算ソフトが内蔵してあるため、体格による、また部位による最適な線量を自動的に設定できるようになっています。
> いままで生きてるうちで、マンモ2回、腰のレントゲン、胸部や副鼻腔のレントゲンなども
> 受けたことがあります。CTは20代前半で1度だけです。
これまで受けてこられた検査による被ばくの量も合わせて、不安になっておられるのでしょう。
検査を受ける以上は、ある程度の被ばくはありますが、それによって得られた医用画像情報から、客観的な情報を導き出すことができ、血液検査や問診の情報などから、正確に診断することができます。また、薬の種類や量なども、正しく導き出すことができます。
医師は、患者さんが検査を受けることはリスクを上回り有益であるという「正当化」の原則のもと検査指示を出します。そして私たち診療放射線技師は、その検査に必要な放射線に量を定め、不要な被ばくを避け被ばく量の低減をはかる「最適化」の原則のもと検査条件を定めています。
長文となって申し訳ございません。
引き続きご不明な点があれば気軽にご相談ください。